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日頃からハイテクなものにはビンビンこないタチです。
1960年代のビンテージボードと、2020年の最先端サーフボード、どちらに乗りたいかと問われたら前者で、クルマや音楽もそっち寄り。あぁでも、1960年代に生まれたランニングシューズと、2020年に生まれたそれだったらぜったい後者だな……。
ある意味こういうのは、カルチャーとしての知識、ファッション的な感覚、スポーツの場合は機能美、それらのトータルな個人的嗜好によるんですよね。あとは「作り手の魂が伝わってくるか」も僕にとってはすごーく大事。サーフィンの場合、それらすべてが絡み合うのがユニークなところで、特に歴史観を重んじるかどうかで、ライフスタイルやモノ選びがガラリと変わってきます。
えっと、なんの話題か自分で分からなくなるほどいきなり話が逸れました。
ハイテクという視点だと、電子機器(PCとかiPhoneとか)も最先端にこだわらないタイプです。ひとつの愛用品をできるだけ長く使って、その関係を成熟させたいし、感覚的に操作できる関係でありたいなと思っているうちに、iPhoneなんかはどんどん新モデルがリリースされて、気づけば誰より旧い機種……とか、いつもです。
そんなアナログ気質の僕の手元にやってきたガーミン インスティンクト・タイド。ようやくログ(記録)もたまってきて、そろそろレビューを書いてもいいかなと思えるくらいになりました。
以下は「これまでGPSウォッチやスマートウォッチなるものに大きな興味をもてなかった素人の感想」という点を、あらかじめご承知おきください。
ひと言で感想を述べるならば「むちゃくちゃすごいのね」。まず、素人丸出しな僕の思い込みを一刀両断してくれたポイントが4つあります。前編とちょいカブりますが、今回はよりリアルな「実感」です。
1:バッテリーのもちは想像以上
世の中のニュースや評価を見ていて「スマートウォッチはバッテリーがすぐなくなる(それは面倒くさい)」と思い込んでいましたが、僕がインスティンクト・タイドを充電したのは、1週間で1回です。それも、バッテリーが残50%を切ったくらいで「いちおう充電しとこうかな」と思ったときだけ。
これは使用内容が大きく関わる部分ですが、GPS機能を起動させる時間(ランニングやトレイルなど、データ収集のために常にGPSの追従が必要な時間)が少なければ、充電の頻度は週0~2回程度だと思います(新品状態時)。
サーファーが、サーファーとしてシンプルに使うケースもこれに当てはまるでしょう。タイド機能を使うにしても、GPSを起動させる時間はわずかなので、国内外を問わずサーフトリップへ持っていってもストレスを感じることはまずないはず。iPhone(スマホ)やPC、デジカメを充電するより、はるかに充電頻度は少ないですよ。
2:アウトドアでがしがし使える
iPhoneやPCの持ち運びをケアするように「GPSウォッチやスマートウォッチも、それなりに扱いに気を使うだろうな(それも面倒くさい)」と思っていましたが、とんでもない話でした。すくなくともインスティンクト・タイドは手荒に使っても問題ないというか、僕レベルの生活環境では壊す方が難しいくらいです。
インスティンクト・タイドはミル・スペック(アメリカ国防総省MIL規格/ミリタリー・スタンダード810G)に準拠する防水性、耐衝撃性、耐熱性を備えているので、サーフィンやアウトドアでのハードな使用は望むところ。むしろインドア中心で使い続ける方がかわいそうです。
3:忘れられるレベルの軽さ
パドリングにしても、ランニングにしても、腕の動きが制限されるのはぜったいイヤです。とくに腕時計を装着するのは片側で、一般的には筋力が幾分弱い利き腕じゃない方に装着します。それが運動にどの程度の影響を与えるかは状況や個人差によると思いますが、意識的にも、重さを感じながら腕を回したくはないですよね。
だからインスティンクト・タイドを手にしたとき、僕がいちばん好印象だったのは軽さでした。重量は52g。もしよければ、現在サーファーたちに選ばれているさまざまなサーフウォッチと比較してみてください。「へぇ、あのモデルより軽いんだ」と驚くのでは。日常生活でも海でも、集中時は着けていることを忘れられるレベルですよ。
4:束縛されるのが恐かった
感覚が古いもので「手首にスマートフォン(あるいはPC)がある」みたいな感覚に陥るのでは……とオドオドしてました。常に束縛されている感じになったらイヤだなぁって。
これについての感想は「常に携帯電話を握りしめているよりずっと気楽」です。また、iPhoneをサイレントモードにしているときは着信やメールに気づかないときがありましたが、その点でもけっこう助かりました。もし「気づけばスマホでSNSを見ちゃってる」なんて行動がクセになっている方は、かえって解放されるかもしれませんよ。
……以上。この4つは、僕がサーファーとしてGPSウォッチやスマートウォッチに触手が伸びなかった理由(勝手なイメージ)だったのですが、インスティンクト・タイドに関して言えば、すべて「僕の勉強不足でした、すいません」でございます。
タイド機能についてはすでにお伝えしている通り、価値ありです(#006 も参照)。では「サーフィン時の使用はどう?」ですが、特別にお伝えすることはありません。「思う存分、装着してサーフィンを楽しみましょう」に尽きます。
インスティンクト・タイドはスノーボード、トレイルラン、登山、SUP、MTB などなど、多くのアウトドア・アクティビティ機能を備えていますが、サーフィン専用モードは現段階では含まれていません。
ガーミンは時計ブランド以前に世界屈指のGPS 機器メーカー。その追従精度は数cm 単位と聞きます。サーファーが滑った距離、高低差、スピードを計測することは十分可能でしょう。そのうえでサーフィンモードがないのは、意図してのことか、サーフィン(波)というフィールドが特種なのか、ここから先は「取材」の領域になりますが、機会があればいつかガーミン本社に聞いてみたいですね。いずれにしても、サーフィンモードはなし、というがインスティンクト・タイドが出した(現段階での)アンサーです。
これについて、僕はあくまで一個人として思うのです。
サーフィンで滑った距離、テイクオフした回数、スピードといったデータを、僕は知らなくていいかなって。僕はサーフィンで得られる自由なフィーリングが好きで、そこには数値化できない感覚的・感情的な要素がいっぱい含まれます。サーフィンを愛してきた最大の理由と言ってもいいです。「今日は今年一番の波だったぜ」とか、実際のところは定かではないサーフィン談議のあいまいな部分(感覚的な部分)も、らしくて好き(笑)。
その一方で、今日におけるGPS サーフウォッチの雄、リップカールのサーチGPS(現在はGPS2)も、もちろんリスペクトしていますよ。すくなくともサーフィンの可能性に一石を投じた存在であり、未踏の領域に挑戦する姿勢はリスペクトされて然るべきです。登場したときのインパクトはすごかったもの。
ようはデータを求める人も、求めない人もいるというだけの話。どちらもサーフィン、サーファーです。優劣もありません。
コンペティターとして躍動したミック・ファニングが好きな人がいて、フリーサーファーの道を選んだラスタビッチが好きな人がいる。同様に、テイラー・ジェンセンが好きな人がいれば、アレックス・ノストが好きな人もいる。コンペティターはサーフィンを絶えず前進させ、フリーサーファーはサーフィン本来のメンタリティを守ってきました。このコントラストはサーフィンが誇る特性です。
話は戻り、僕の場合、時間をまったく気にしなくていい日ならサーフィン前に潮まわりだけチェックして、腕時計も外して海に入ります。ただ、仕事前などタイムリミットがある日の方がずっと多いので、腕時計は必要です。その場合、軽くて、タフで、時間が分かればそれで十分。海のなかでは、それ以上の機能は求めていません。
なので、インスティンクド・タイドにサーフィンモードがないことは、シンプルでいたい僕としては嬉しいことです(むしろこのままでいてほしい)。サーチGPSとの明確な差別化にもなるし、ユーザーとしても選ぶ基準がはっきりして良いのでは?
だいぶ書いたので、ここからは写真中心で。
サーフィン、アウトドア、ランニング、日常生活……「この子のコアターゲットは僕なのか?」とスペシャルに勘違いするくらい、今の自分が知りたいアレコレをフォローしてくれます。
そして、いまだに「こんな画面あったの?」「こんな機能があるの?」と発見する日々。ま、感覚的に付き合えるようになるまで、ゆるゆると付き合っていきましょ。
メイン画面と機能一例
(上左_メイン画面。フェイスデザインはいろいろ選べます。 上右_心拍数。学ぶこといっぱいあります。 下左_アクティビティの記録。 下右_ただいまの消費カロリー)
サーファーご用達の機能
(上左_天候、風、気温。1時間毎、週間予報も見れます。 上右_コンパス。今日のサーフポイントの方角は? 下左_日の出&日の入時刻。サーファーには嬉しいでしょ? 下右_タイドと関係の深い月の満ち欠けデータまで。これもサーファーには嬉しい機能)
RUNNING
(GPSボタンを押してランニングモードに。スマートフォンは不要です。あ、サーフィン同様、計らず、何も考えず、風吹くままに走る日だってもちろんあります。その日の気持ちに添うだけ。ただランニングって、データを含めて理解を深めるほど、楽に、速く、遠くへ、走れるようになるのが面白いところでもあるのです)
(走り終わりました。再びGPSボタンを押せば終了)
(スマートフォンを近づけると、計測したさまざまなデータを転送・同期してくれます)
(iPhoneに転送されたランニングのデータ。走行時間、距離、カロリー、1㎞毎のペース、ルート、心拍数などが閲覧できます。仲間とシェアすることも可能です)
LIFESTYLE
(ランニング以外にも、トータルの消費カロリー、歩数、心拍数、睡眠のモニタリングなどなど、インスティンクト・タイドを着けているだけで日々のライフログを勝手に記録してくれます。もちろん、それぞれの詳細を見ることもできますよ)
(カレンダーです。たとえば月間の目標走行距離とかを設定し、記録していくことも可能です。自分の日々の消費カロリー、はじめて知りました。消費した分は食べても太らないってことか!)
(こちらはPC画面。ウォッチやスマートフォンでもいろいろ操作・設定できますが、より詳細なところはPCで。僕もまだまだ100%使いこなせてませんが、スマートフォン同様あまり深く考えなくて大丈夫です)
以上!
今回はがんばりました(笑)。最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。ひとりでも多くの方の参考になりますように。
つづく(はず)
Y. Toida / Chief editor of Blue. magazine.
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