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僕らが生きるほとんどの道はアスファルトになっています。むしろ、舗装されていない平地のほうに珍しさを感じるほど。今まで深く考えることがなかったけれど、これってけっこう異常ですよね。ありのままの自然を残したいと願う一方で、僕たちは今、求めなければ自然本来の大地に足を踏みしめる機会がほとんどありません。
そんなことを考えるきっかけになったのは、ひざを痛めたことでした( #015 )。ランニング時に掛かる着地の衝撃は、体重の3~4倍と言われています。となると、僕の場合は67kg×3倍=201kg。加えて、硬いアスファルトになると骨や関節への負担はさらに大きくなります。衝撃をやわらげる筋力や柔軟性が足りなかったり、疲労が蓄積していたリ、走り方が悪かったりすると、簡単に故障につながると身をもって知りました。
というわけで、これからはもっと自然そのものを走る機会を増やしていこうと思い、近所のビーチを走ることにしました。
本当はトレイルを走る機会を増やしたいのですが(衝撃的に楽しいので、またの機会に)、僕の住む町には手ごろな山がなく。出社前の平日朝のルーティンに加えるのはやや大変なので、ビーチの方が僕にとってはお手軽なのです。
どうせ走るなら裸足だろう、と思いましたが(むしろサーファーは裸足の方が違和感がないので)、真冬の早朝の寒さにあっさり萎えて、使い古したランニングシューズを引っ張り出して走ってみることに。
サーファーに限らず、多くの人は過去に一度くらいは砂浜で遊んだことがありますよね? そして、ほとんどの方の感想は同様だと思います。ひと言、走りづらいです。だからこそ、すごく効果があるらしく。
=ビーチランニングの効果=
◎ゆっくりでも心肺機能が高められる
◎骨や関節に掛かる衝撃が小さい
◎アスファルトを走るより大きなフォームになる
◎バランス感覚を養える
◎路面以上に筋力を強化できる
◎なにより海がすぐそこ
普段、サーフボードを抱えて歩くときでさえ思うように進まずじれったくなりますが、走るとなると、その感覚はますます大きくなります。
まず感じたのは、アスファルトのように地面を蹴ったときの反発を推進力に換えられないこと。その力は砂浜がすべて吸収してしまうのです。強く踏み込むほど足は砂に埋もれます。
ではどうするかというと、足の接地時間を短くします。右足を着地したら、できるだけすぐに左ももを上げて、着地した足は後ろへ蹴るのではなく、基本は置くだけ。とにかく足を前へ運ぶ動きを優先しながら走ります。必然的にフォームは大きくなり、ピッチが上がります。ただ、着地がドンとなると足が埋まりやすいので、ストライドはやや狭いほうが軽やかに走れます。
当然ですが、砂が深い場所ほど前に進まず、足を高く上げる必要があり、波打ち際など湿った砂の上は走りやすいです。いずれにしても、足にかかる衝撃はアスファルトよりもずっと優しく、明らかに膝にいいのが分かります。そのうえで、いつも以上に筋力を使うので、たしかに、すごくいいトレーニングになりますね。
何度かやってみましたが、今のところ一度に走る距離は5~7kmくらい。
個人的にはあまりゆっくり走るより、ややテンポを上げたほうがロードとの違いを体感できると思いました。いちばん面白いのは200mダッシュして、200mゆっくり走ってを10回くらい繰り返すインターバル。なんだかアスレチックをやってる気分です。
200mってこんなに長かったっけ? と、同じ体の動きでもロードより負荷も時間も掛かるので、その分だけ心肺機能も発達する……気がします(笑)。楽しくやれればいいので気にしていませんが。
サーフィンのパドリング時に、すぐに息切れしがちな人にはかなり効果がありそうですね。
ただ、毎回これをやるか? となると、今のところはないかな……。たまにであれば新鮮で心地いいのですが、あまり頻繁だと、なんとなくトレーニング感が強くなってしまいそうだな、と。わたし、楽しく走りたいのです。
また、ビーチってたいてい陸から海に向かって傾斜してるんです。やりすぎると左右のバランスが崩れそう。あと、風が強い日はおすすめできません。目、口、鼻、耳、すべてが砂にまみれます。
暖かくなったら裸足で走ろうと思っていましたが、ひとつ問題が。
うちの近所の海、そういえば小石がめちゃくちゃ多いんです。歩く程度なら問題ないですが、これを踏みながら裸足で走ったら、一発で故障します。でも、やっぱり海は裸足で走ったほうが気持ちがいいに決まっているので、春になったら最適ルートを探してみよっと。
理想は、週1で海か山を走る、あとはロード、波がある日はサーフィン、です。
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先日、PESさんやサーフライダー・ファウンデーションの皆さんといっしょに湘南のとある海岸にてビーチクリーンをやりました。ちょうど前日が南風(オンショア)ビュービューだったこともあり、この日は砂浜にけっこうゴミが流れ着いていました。
海のゴミの7割以上は街から流れ着くもの。海から遠い街で捨てたゴミでも、やがて海へと流れ着き、その過程で細かく砕けたプラスチックゴミ(マイクロプラスチック)を魚たちが誤飲してしまう、そして私たちはその魚たちを口にする、という連鎖が生まれつつあることを、すべての方に知って欲しいです。
ビーチクリーンに参加すると、大きなゴミを探しがちですが、清掃車で拾いきれないのも、子どもたちが足の裏を切ってしまうのも、魚たちが誤飲してしまうのも、小さなプラスチック片だったりします。これからはいつもより視点をちっちゃくして、小さなゴミを軽く見ず、拾うようにしていきましょう。
上の写真はこの日、大人6人1時間ほどで集めたゴミの1/3くらいを仕分けしたもの。うーん、これは大人の僕でも裸足で走っていいものか、悩んじゃいますね……。
子どもたちが安心して海で遊べるように、僕たち大人が責任をもって元の姿に戻さなければなりません。だって今あるほぼすべてのゴミは、大人たちが生んできたものだから。
(PESさんと、日本のトップサーファーのひとり石川拳大くん、サーフライダー・ファウンデーションの小山裕子さん)
(上の三人がビーチクリーン後にプラゴミで作ったアートボード。詳細はBlue.82号にて!)
つづく(はず)
Y. Toida / Chief editor of Blue. magazine.
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Blue. Surf Club
目次&パーソナルデータまとめ
http://www.blue-mag.com/wp/diary/bsc000/
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