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DEADKOOKS
3fin Bonzer
◎シェイパー:エイデン・ソウル
◎ディメンション:6’3″
◎価格(新品):ask
◎ライダー:越後将平pro(170cm/66Kg)
◎Photo:Yuichi Toida(Blue.mag)
デッドクークス、そしてシェイパーであるエイデン・ソウルの名は、日本でもここ数年で一気に浸透した。そもそもエイデンはオーストラリア・バイロンエリアでは知られたサーファーだったわけだが、今はクラフトマンとして、その才能を大きく開花させつつある。むしろシェイパーとして歩み出して以後、彼が元来そなえていたサーファーとしての魅力、個性的なルックス、そしてシェアマインドあふれる人間性がいっしょになって海を越え、世に羽ばたいたというイメージだろうか。TCSSファミリーのひとりとしてモデル役をこなしたり、コロナビールのイメージムービーのキャストに抜擢されたり、オーストラリア版VOGUE誌のグラビアにデッドクークスのボードが登場したり、その活躍は目覚ましい。
また、今年来日したカシア・ミーダーがエイデンのボンザーを愛用していたように、彼のサーフボードをクイーバーに加えるサーファーは数知れず。ケリア・モリーツ、リア・ドーソン、そしてデヴォン・ハワードといった世界クラスのサーファーたちが、プライベートで彼のボードに乗っている。エイデン自身、ライダーというシステムにはあまり興味がないはずで「楽しくサーフィンしたいと思ったときに、僕のボードを選んでくれたら最高だ」と語る。また、サーファー以外にもクリステンソンやマッカラムなどシェイパーたちとの交流も深い。聞けばエイデンは毎年数ヵ月、まとまった時間をとって旅に費やしているそうだ。その主な目的地となってきたのがカリフォルニアで、シェイプの研鑽を積み、人脈を築き、技術とマインドを成長させてきたわけだ。
そんなエイデンがシェイプするデッドクークス・サーフボードはショートレングスから11″オーバーのクラシック・シングルフィンまで相当ラインナップの幅が広い。彼自身があらゆるレングスを乗りこなす優れたサーファーだから、それも納得だ。特徴的なのは、どのモデルも個性的なカラーリングを有しながら、すべてサンドフィニッシュで仕上げていること。これはパフォーマンス性を重視するエイデンのひとつの哲学である。
というわけで、今回の主役であるボンザーへ話を移そう。実はこのモデル、以前エイデンを取材した際にボンザーの話題になり「一本作ってみたいデザインがある」という話から生まれた意欲作だ。特徴は「3フィンボンザー×スワロー×ウイング」によって成り立つテールデザイン。これまでの歴史で、3フィンボンザー×スワローや、スワロー×ウイングのマッチングの良さは証明されてきたが、3つが融合したモデルはあまり多くない(5フィンボンザーはそこそこ見かける)。しかし3つが織りなすバランスに違和感はまったくなく、サイドフィンを軸にスプレッドするコンケーブや、ウイングの位置取りなど、すべてのディテールが計算されたものだと分かる。ウイングを起用することでサイドのストレートラインを長く保ちつつ、ノーズとテールをきゅっと絞ったアウトラインはとても美しい。きつくはないがノーズ、テール共にロッカーもあり、スワローテールを含めて旋回性への意識も高そうだ。
そして、もうひとつ言及しておきたいのがコンケーブだ。ノーズからシングルコンケーブがしっかり入り、テールに向かってシングル・イントゥ・ダブルへ移行する。写真でも分かる通りコンケーブはしっかり入っているが、本家キャンベル・ブラザーズなどのボンザーボトムと比べたら、かなり浅めだ。例えばクリステンソンのモデルCFOはボンザーボトムではなく、浅めのシングル~ダブルコンケーブとボンザーフィンを合わせている。知ったようなことは書けないが、その方がフィーリングがマイルドな方向となるのは間違いない。なお、エイデンのボトムコントゥアーはキャンベルほど深くないが、クリステンソンのCFOよりはやや深め(そもそもOFOとはアウトラインがまったく違うのだが)。それが彼なりの温故知新の回答なのだろう。
★ IMPRESSION ★
(雰囲気たっぷりのダウンザライン。テイクオフ~ボトムターン~トップへの伸び上がり、そして、その一連の流れで得られる心地よさはボンザーの大きな魅力)
(ボンザーボトムが水の流れを整え、スムースな旋回性と豊かな推進力を生み出す。多くのエキスパートはその乗り心地について、トライフィンよりシングルフィンに近い、と語った。さて、あなたは?)
(緩慢なフェイスのパワーゾーンをゆったりとキープしながら、最後にピールするインサイドセクションでポテンシャルを解放し、一気に加速する。越後プロらしいリラックスした大人のライン取り)
(スワローテールと3フィンボンザーの相性の良さは過去の歴史が証明済み。フェイスさえ張ってくれば大小自在なカービングが描ける)
Shohei Echigo
「僕には少し大きめのサイジングでしたが、その分パドルはイージーで、テイクオフ後は緩慢だった斜面を横へ横へ、そしてスピーディなターンが楽しめました。今日は波がタルめでしたが、フェイスが硬く張った速めのブレイクでぜひもう一度乗ってみたいです。もし自分にぴったりのボードサイズなら、チューブになるハードなコンディションでも対応してくれそうな印象です。速い波のハイラインを走り抜けたい方はぜひトライしてみてはいかがでしょうか。逆に大きめのサイズで、今日のように柔らかい波を楽しむのもありだと思います。個人的には、ボンザーはトライフィンよりシングルに近いフィーリングです。そういえば、センターボックスにフィンの位置がマーキングされていました。そういう部分もまた、シェイパーの心意気を感じるポイントですね」
いつも力の抜けたライディングで、ボードの性能を引きだしてくれる越後将平プロ。この日はサイズこそ胸~頭くらいあったが、波質はかなりゆるめ。将平プロとボンザーを満足させるには、もうすこしパキッとした波でテストしたかったところ。雄々しいボンザーには、やはり雄々しい波が似合う。とはいえ、ひと足早いテイクオフ、溜めの効いたボトムターン、ダウンザラインや掘れるセクションでの加速など、ボンザーならではの瞬間はしっかりと垣間見た。そして、将平プロが描く優雅なトラックを見て、エイデンがボードに込めた哲学が機能していることもよく分かった。
いつも不思議に思うのだが、ボンザーに乗るエキスパートたちを撮ると、なぜか独特の仕上がりになる。この日の将平プロもそう。ひと言、雰囲気があるのだ。ボンザーがサーファーをそういう気分にさせるのかは定かではないが、浮力に余裕がある利点を活かした将平プロの悠然とした姿は、どこまでも大人の風格をたたえていた。
=Special Thanks=
DEADKOOKS SHONAN
http://deadkooks-shonan.com/
(テイクオフの早さはご覧のとおり。ややオーバーフロー気味だったとはいえ、ほぼうねりの状態からテイクオフ。波がサイズアップするほど、掘れるほど、セーフティな位置から走り出せる魅力は大きい)
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