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WISDOM LINE
Retro Fish
◎シェイパー:スティーブ・モーガン
◎ディメンション:5’10″×21″×2 3/8″
◎価格(新品):¥187,000+TAX
◎ライダー:市東重明pro(175cm/70Kg)
◎Photo:Yuichi Toida(Blue.mag)
カリフォルニアとハワイ、サーフィンにおける2大聖地ともいえる地で、シェイパーとしての研鑽を積んできた隠れたリビング・レジェンド、スティーブ・モーガン。カリフォルニア・サンディエゴではビル・キャスター、ハワイではディック・ブルーワーの元でシェイプを学び、現在はモロカイ島をベースに日々フォームと向き合っている。
シェイパーとしての土壌もさることながら、ハワイとカリフォルニアでは波質も異なる。スティーブはクラフツマンとしての在り方だけではなく、さまざまな波を見つめ、対応する術を模索しながら独自のシェイプ理論を育んできた。スティーブが好んで削るサーフボードは総じてクラシックなボードデザインを継承しながら、先進の技術を注いだオルタナティブなもの。中でもご覧のレトロフィッシュは、スティーブ独自のディテールが色濃く体感できる唯一無二のデザインだ。
サーフボードを見てまず目に付くのがセンターの深いシングルからダブルへとつながるコンケーブだ。スティーブはフロントのシングルコンケーブを”ベント”と呼び、ダブルコンケーブとなるテールの意匠を”エギゾースト”と呼ぶ。つまり水の流れを取り入れ、吐き出すという一連の流れをくっきりと表現しているのだ。さらに、このコンケーブの両脇を頂点に、外側のレールへとつながる面をフラットVEEパネルとし、ボトムすべてを総じて”コンバーターボトム”とスティーブは命名している。これらすべてがバランスすることで、スティーブのレトロフィッシュはより効果的に水流を促し、スピードに乗りながらシビアなテールコントロールとレスポンスを得ているというわけだ。
★ IMPRESSION ★
今回、レトロフィッシュを試乗してくれたのは市東重明プロ。ちなみにこの写真たちは、ジャワ島バスカラスにてたった1本の波で描いたマニューバーだ。波はロングボード向けのタルめの腹サイズだったにも関わらず、市東プロはスピード、フロー、リップアクション、カービング、そのすべてを自由自在に、心地よさそうに示してくれた。当然サーファーのレベルが高いこともあるが、日本でもよく出会いそうな波で多彩なラインを描けるという事実は、サーファーにとってはボード選びの大きな観点となるだろう。
キレのいいライディングを引き出す理由がもうひとつある。一般的なサンディエゴ・フィッシュに比べ、スティーブのレトロフィッシュのフィンはややナローでレイクが深い。より軽い力で操作できるこのデザインは、脚力が弱めの日本人サーファーにとっては大きな味方となるだろう。とはいえ、スティーブはこのレトロフィッシュを「バレルはもちろん、ハワイの波にも十分通用する」と語るだけに、そのポテンシャルは計り知れない。
最後にひとつ。このレトロフィッシュのテンプレートは、フィッシュの生みの親、スティーブ・リズから譲り受けたものである。そう、スティーブ・モーガンはカウアイ島でスティーブ・リズとも親交があったのだ。
自身の知名度に固執することなく、粛々とシェイプに励むクラフツマン、スティーブ・モーガン。トレンドに捉われずに本物を選びたいなら、候補に挙げていい名匠だ。
=Special Thanks=
エイチアイシージャパン
TEL:0475-42-1522
http://www.wisdomline.org
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