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Tatsu
タツを始めて知ったのは2014年、クラシック・スタイルを重んじるシングルフィンロングボード・コンテストだった。トレードマークの金髪と端正な顔立ち、そして難易度の高いノーズライディング。ホームポイントは湘南らしい。当時はまだプロではなく、こんな若者がいたんだと驚かされたのをよく覚えている。ちなみにタツはこのコンテストで優勝した。
「その年は他のいくつかのシングルフィン・コンテストでも優勝できて、もっと自分のスタイルを追求したいと思うようになった僕は、以後、お金を貯めてはカリフォルニアへ通うようになりました。一度行ったら1~3ヵ月くらいは滞在します。ひと言でいえば、洗礼を受けましたね。文化の成熟度も、個々の基礎スキルもぜんぜんちがう。勉強になったし、刺激になったし、その時間で得た数々の出会いがなければ今の僕はないし、自由が丘のお店だって生まれていません」
自由が丘のお店「Roamers & Seekers」には新品のボードに交ざり、ジョエル・チューダーやライアン・バーチなど、聖地カリフォルニアが誇るサーフスターたちのパーソナルボードが置かれていた。実際に本人たちともコンタクトを取り合う仲らしい。さぞかし濃密な武者修行だったにちがいない。そしてその成果は、ライディングにもあらわれていたと思う。
「サーフィン、変わったよ」
国内外の一流どころを撮影してきたフォトグラファー、三浦安間のひと言を聞き、タツはうれしそうにはにかんだ。
Keiko Kodaka
恵子さんについても触れておきたい。
国内最高峰のプロツアーであるJPSAのロングボードクラスにおいて、恵子さんは全5戦中4戦を消化した10月末時点で、2021年度のツアーランキングで第4位につけている。つまり、日本を代表するトッププロのひとりだ。
「若いころはアルペンスキーの選手でした。スキーの世界は本当にストイックで、体への負担もすごく大きい。オフシーズンも長いので、その時間はトレーニングに費やします。そんなときに出会ったのがサーフィンでした。サーフィンもまた奥が深い世界なのですが、不思議とみんな笑顔なんですよね。それが当時の私にはすごく新鮮で、正直スキーでからだがボロボロだったこともあり、次第にサーフィンの虜になっていきました。でも、最近は自分を追い込む気持ちがまた湧いてきて、真剣にサーフィンと向き合っているかな」
サーフィンをはじめて8年でプロになり、10年で現在のポジションにいる。それは並大抵のことじゃない。サーフィンはそんなに簡単ではないし、甘くもない。ただただ恵子さんがすごいのだ。ちなみに恵子さんはスキーの選手としてもトップレベルだったことは添えておきたい。
聞けば、タツと恵子さんが出会ったきっかけはサーフィンだが、最初に行ったトリップは雪山だったそうだ。現在は共にスノーサーフィンに夢中らしい。次は MINI JCW Crossover で雪山かな?
Long boarders with MINI JCW Crossover
「運転がとにかく楽しいクルマでした」
MINI JCWを運転したタツのいちばんの感想だ。ふたりには純粋な気持ちで乗ってほしかったので、クルマの詳細は深く説明せずにキーを渡したが、「なにかに乗って、操作する」という点に関して、ふたりの感覚は敏感だ。
クルマの運転と比較すべきことではないけれど、ことサーフボードに関しては1インチの差にこだわるし、乗り心地の違いも分かる。レスポンスやハンドリングといったクルマで使われる単語は、サーフィンの解説でも用いられ、多くのフィーリングを重ね合わせることができる。
「ロングドライブが多いから、その道程が楽しくなるというのはこの上ない喜びですよね。ボタンひとつでスポーツやエコモードに切り替えられて、乗り心地がガラッと変わったり、燃費をケアできるのもうれしいです」
タツはかなりお気に入りの様子。3m近くもあるロングボードは車内には入らない。しかし、ロングボーダーがそこにこだわると、乗れる車種は本当に限られてしまうし、たいていの場合、ドライブそのものの楽しさ=性能をどこかで我慢することになる。「ロングボードを載せたMINIは絵になる」と書いたが、そのイメージは、MINIを選んできたサーファーたちがクルマへの愛や走る喜びを優先してきたからこそ、生まれたものなのだ。
ロングボードというのは何かと手のかかる相棒だ。車に乗せるにも、飛行機に乗せるにも、部屋に置くにも。しかし、それを補って余りある特別な魅力があり、その不便さを含めて付き合うことで、ロングボーダーのスタイルは確立されてきた。胸を張って、その不便さはかっこよさの一部だと言える。
The Journey Continues
「Roamers & Seekersの“Roamers”は放浪者、“Seekers”は探求者という意味です。恵子ちゃんは根っからの旅好き。僕はカルチャーおたく。旅と文化を愛するサーファーの生き方としてもぴったりのネーミングだと思って」
たしかに、よく似合ってる。オープンしたばかりのこのお店を、ふたりがどう育てていくのかが楽しみだ。
天気にも波にも恵まれて、ふたりは結局ずっと海にいた。サーフィンに夢中でランチのタイミングを逃したふたりは、日が暮れる直前に近くのカフェで食事をテイクアウト。それも、海で食べた。それがベストチョイスだったから。
さぁ、そろそろ帰ろう。東京へ。
そこは現実。現実とはつまり、明日の旅先を夢見る場所だ。
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The MINI John Cooper Works Crossover
◎全長×全幅×全高:4315×1820×1595㎜ ◎車両重量:1670kg ◎定員:4名 ◎駆動方式:4WD ◎トランク容量:450-1390L ◎エンジン:2.0リッター・ツインパワーターボ ◎トランスミッション:8速AT ◎最高出力:306PS ◎最高速度:250km/h ◎0-100km/h加速:5.1秒 ◎スポーツ・サスペンション ◎スポーツシート ◎専用4ピストン・ブレーキキャリパー ◎新フロントスポイラー&大型インテーク ◎リアスポイラー ◎マルチ・ディスプレイ・メーターパネル
その他専用オプション多数。
車両詳細は MINI公式ウェブサイト へ
「放浪者と探求者」 with The MINI John Cooper Works Crossover (前編)を読む
surfer:Tatsutoshi Muto, Keiko Kodaka
photo:Yasuma Miura
story:Yuichi Toida(Blue.)
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