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サーフィン誌の編集者、その端くれとしての視点でも、あらためて感動したことがある。
まず、主役のマイク・ヒンソンとロバート・オーガストは、いまを生きるサーファーたちにレジェンドとして称えられている大人物だ。ともにシェイパーでもあり、ヒンソンは私たちがよく言葉にする「ダウンレール」(サーフボード・デザインのひとつ)の生みの親でもある。
感動したのは、そんなふたりが『エンドレス・サマー』で見せるサーフィン(ロングボーディング)が、いま見ても本当に美しいことだ。
よい意味で古さを感じさせないことには理由がある。いまを生きるロングボーダーたちにとって、彼らが活躍した1950~60年代はロングボーディングの黄金期としてリスペクトされている。競い合うこと以上に、サーフィンの自由を心から謳歌した時代だ。劇中で見せるヒンソンとオーガストのサーフィンからも、やはり波に乗る純粋な喜びが伝わってくる。アクションに固執しないシルエットは優雅で、リラックスして、まるで波の上を踊っているようだ。
現代のクラシック・ラヴァーたちは、そんなライディング・スタイルやボードショーツの履きこなしなどを含めて、この時代から大きく逸脱することなく進歩してきた(細かく言えばそうじゃない時代もあるが、当時の美しさを見直すクラシック回帰の流れが生まれた)。『エンドレス・サマー』のリリースから半世紀以上が経つ今も、この時代のスタイルが受け継がれていることに大きな喜びを感じたし、ロングボーディングという文化の魅力を再認識させてもらった。
思えば1950-60年代というのはサーフフィルム自体も黎明期であり、当時のロングボーディングをじっくり見られる作品自体が貴重なのだ。バド・ブラウン、ジョン・セバーソン、グレッグ・ノール、そして『エンドレス・サマー』で傑出した成功を収めたブルース・ブラウン……サーフィン映像の基礎を築いた巨匠たちに、あらためてリスペクトを。
Q:『エンドレス・サマー』は観るべきか?
A:「ぜひ、観ておきたい作品です」
どれだけ言葉で伝えても、サーフィンをしない人にその魅力、夢、醍醐味を理解してもらうのは難しいだろう。でも、この作品はそんなすべてを代弁してくれる。そしてカルチャーを知る目の肥えたサーファーたちを、いつでも原点に立ち返らせてくれる懐の深さもある。
そんな作品を、彼らはあれだけの若さで作ったんだもんな。ちなみに私はいま46歳。初めて見た年からかなり年月が経つけれど、いま見てもときめく。もしかしたら若い頃より今のほうが深く魅了されているかもしれない。きっとサーファーって、年を重ねても根本はなにも変わらない(成長しない?)のだろうな。終わりなき夏への憧れは、いくつになろうと、波に乗る限り永遠に続くのだ。
(Blue.編集長/戸井田)
Blue.の仲間たちにも
感想を聞いてみた!
「初めて観たのは二十歳くらいだったかな。その後、数年過ごすことになるニュージーランドへ行く前。劇中に出てくるラグランは僕にとっても想い出の町です。日本に戻るタイミングで、4カ月かけて映像にも出てくるいくつかの国を巡り、自分なりにプチ・エンドレスサマーを楽しんだ日々も懐かしい。やっぱりサーフトリップは、サーファーとして、人として大きく成長させてくれますよね。なにより、これ以上の喜びは考えつかない! 僕ももっと旅を重ねて自分をひらいていこう。閉じてしまうのはもったいない。久しぶりに作品を見て、あらためて刺激を受けました!」
―― 三浦 “マーシー” 理志さん(モデル)
「本物はいつまでも本物ですね。あらためて見直してもやっぱりスケールが大きくて、色褪せない魅力にあふれていました。しかも劇場で観るデジタルリマスター版ということで、サーフシーンや波の迫力がとてもリアルに感じられるんです。サーファーたちの技術やスタイルも鮮明に伝わってきて、プロの目線でもぐっとくるものがあります。競技的な魅力だけではないロングボーディングやサーフィンの魅力をあらためて考えさせられました。まだ見ていない方は、ぜひ見てほしい名作ですし、すでに見たことがある方も、年を重ねた今の感覚で見直してもいいと思います。なにより新しい世代のサーファーたちに、バイブルと言ってもいい作品の世界観に触れてほしいですね」
―― 吉田 ”チャボ” 泰さん(プロ ロングボーダー)
「ザ・サンダルスの印象的なギターが劇場に響き、あの時の感動が一気に湧き上がりました。オリジナル版を初めて見たのは24年前、ロングボードを本格的に始めた年でした。セント・フランシス岬のパーフェクト・ウェーブに乗る夢は心の中で燃え続けました。それから10年が経ち、作品への憧れを私なりに実行に移す日が来ました。もし私が彼らのように旅をするなら、ハサミを持っていき、サーファーのヘアスタイルをカッコよくしたい。そんな思いから『カットバック・カリフォルニア』というオリジナルのショートフィルムを作りました。ジョエル・チューダーなど憧れのサーファーたちを訪ね、ヘアカットをしながらサーフィンをする旅です。ひとつの夢が現実となった瞬間でした。そして最近、映画で当時のサーファーが乗る1960年代のレプリカ、大きなDフィンのついたピッグを偶然手に入れました。そんなタイミングでのデジタルリマスター版の劇場公開。私もまた新しい夢を追うときが来た、そんなことを思いながら、鮮明になった映像にあらためて胸を高鳴らせました」
―― 軽部京介さん(Hair California)
『エンドレス・サマー デジタルリマスター版』
◎製作・監督・撮影・編集・ナレーション:ブルース・ブラウン
◎音楽:ザ・サンダルズ
◎キャスト:マイク・ヒンソン、ロバート・オーガスト
1964年|アメリカ|カラー|DCP|5.1ch|90分|原題:THE ENDLESS SUMMER|字幕翻訳:小泉真祐|G
鈴正・フラッグ共同配給 宣伝:フリークスムービー
© Bruce Brown Films, LLC
上映劇場
https://theaterlist.jp/?dir=endless-summer
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