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サーフィンへの情熱と感度を
リバイバルさせてくれる精力剤
東京・八王子に拠点を構えるライド サーフ + スポーツは昨年、オープンから30年を迎えた。都会 に位置しながらも、今やサーフカルチャー発展の一翼を担っているといっても過言ではないオルタナティブショップ。でも1993年の開店当初は、トライフィンのハイパフォーマンスボードばかりラインナップしていたそうだ。
「僕がサーフィンを始めたのは ’80年代。トライフィン全盛でほかの選択肢がなかった。新しい物が良 く古い物は顧みない風潮でした」
そう語るのはオーナーの柴田浩次さん。オルタナティブに傾倒したのは、フィッシュ流行の火付け役ともいえる名作ドキュメンタリー『サーチング・フォー・トム・カレン』を視聴してからだ。フィッシュを自在に乗りこなす彼の映像をみて、柴田さんは知人のシェイパーに連絡を入れ、似たフォルムのボードを作ってもらった。それが未知とのファーストコンタクトだった。
信頼のおける作り手と共に、いいプロダクトを生み出す。国内外のシェイパーと密なリレーションシップを築く柴田さんのスタイルは、令和になった今も変わってはいない。とくに近年親交を深めているエリス・エリクソンの削るライト・カイトには、並々ならぬ思いがある。
「ふたりで言葉を交わすうちに再認識したのは、従来のショートにはない、オルタナティブボードの魅力。店頭に並ぶストックボードは、僕のような60歳に近いシニアサーファーのテイクオフを助けてくれる浮力と、高い加速性・操作性を兼ね備えている。とくにライト・カイトは、サーフィンへの情熱と感度をリバイバルさせてくれる精力剤といってもいいですね(笑)」
今年発売したニューモデルは、エリスと“共同開発”したなかで「抜群の完成度」と太鼓判を押す。水流を受けるボトムは放射線状に広がるサイドパネルと、中央を貫くシングルコンケーブのセンターパネルで構成され、水離れのよさを生む。さらにテールをフィッシュにしたことで、ドライブ・フロー・ルースの三拍子を実現したハイブリッドモデルだ。
店頭に置かれたストックボードは一部を除き、コンピューターやシェイピングマシーンをいっさい使用せずに国内外のシェイパーたちによってハンドシェイプされる。オーダーからチューンナップまでに時間を要するし、本数もたくさんは削れないが、エリスをはじめとするハンドシェイパーのスタイルを柴田さんは尊重している。
「“顧客のために”という大義名分を掲げて安く早く大量生産する体系は、僕らの目指す世界じゃない。少し値は張っても、お客さんにはモノの本質を感じ取ってもらいたいと思っています。小さいけれど、蜜蝋のワックスひとつとっても同じ。自然の尊さをうたいながら、自然を壊す。そんな矛盾したプロダクトを大なり小なり僕らは生み出していますからね。罪滅ぼしじゃないけど、少しでもカーボンオフセットできるような商品を選んでいるつもり。そういうところに価値を感じてもらえたら、これ以上の喜びはないですね」
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『 Ride Surf+Sport』
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photo◎Ryo Shimizu text◎Ryoma Sato
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