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葉山の山のなかを走る県道から一本はずれ、急なのぼりが続く細い路地を進んでゆくと、ぽっと閑静な住宅地があらわれる。
「この景色に惚れました。友人たちも初めは道中不安に思うみたいですが」
窓の向こうに切り取られているのは、樹々が微かに色づき始めた山々と、その奥に輝く江ノ島の海。
「いわゆるカリフォルニアスタイルの平屋よりも東海岸の倉庫のような武骨でダークな雰囲気が好きなんですが、自分で一からつくろうとすると結構むずかしい。リサーチするなかで出会ったのが、このデザインだったんです」
BROOKLYN HOUSE®︎。
この企画住宅の準備を進めていたデザインソースの小林さんを夫婦で訪ね、初対面にもかかわらず5~6時間も話し込んだ。
その時点ではまだパースのみが存在する机上の段階ではあったが、会話を重ねるなかで意気投合するのを感じた。
「帰る頃には『ここにしよう』と心はほぼ決まっていたよね」
奥さまの由香さんはそう明かす。
こうして、ブルックリンハウス第一号棟が、葉山の地に根を張ることとなった。
玄関をくぐるとコンクリートの土間。自然なひび割れがそこにずっと居を構えていたかのような空気を醸している。
フローリングとの仕切りはフラットで、ベースフロアのダイニングキッチンへと自然に繋がっている。
リビングはベースから4段上の中2階。
フロアの高さをキッチンのシンクと合わせてあるので、高低差があっても空間に一体感が生まれ、料理をする奥さまだけが寂しい思いをするようなことはない。
鉄骨製の階段を上がっていくと吹き抜け2階のフロアへ。ベッドルームや書斎など、どんな用途でも利用可能だ。
スペースはL字型で、家具だけで空間の仕切りがつけやすいうえ、解放感はキープされたまま。
実際、この住宅で扉という扉は、洗面、バス、トイレなど水回りがまとまったバスルームと、中2階の真下に設けられた6畳の大きな収納庫へ続く扉のみ。
総じて、仕切りなく繋がる3層のスキップフロアで構成された高さのある大空間、それこそが醍醐味と言える。
そしてもうひとつの大きな特徴は、程よくヴィンテージ感が付加された無垢のオーク材、それに黒皮のアイアンで演出された家具や内装だろう。
家の表情となるフローリングや階段の鉄骨ササラ、そしてキッチンやテーブル、ソファ、照明に至るまでの一切は、大阪のスクエア ファーニチャーが手がけたもの。
デザインソース小林さんが惚れに惚れ込んだ、ブルックリンハウスをブルックリンハウスたらしめる構成要素だ。
さらに、特筆すべき外構は、旦那さまの早人さんがDIYでコツコツと造り上げてきた代物なのだが、デザインも凝っていて、仕上がりもお世辞抜きでプロ並み。
聞けば、これまでの3年間、毎月少しずつ手を加えていったそう。
「新築は7割完成で十分で、残りは住む人ご自身が自分の感性で手を加えていくのがベスト」
この家をひと目見れば、デザインソース小林さんの哲学が静かに施主たちの心をギュッと掴んでいるのがよくわかる。
***
DATA
–
種別:企画住宅
居住者構成:夫婦
構造・規模:木造2階建
敷地:172.12㎡(52.06坪)
建築:57.96㎡(17.53坪)
延床:105.98㎡(32.05坪)
設計:敷波一哉
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