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旧き良きアメリカで模索された建築の潮流を、考え方を同じくして
現代の湘南の暮らしに当てはめて再解釈。
そこには、デザイン的にも導線的にも、住む人々同士を
自然なコミュニケーションへと向かわせるひそかな仕掛けが見え隠れする。
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どことなくリラックスした空気感とともに、新たな潮流やホットスポットが次々と生まれる海沿いの街、湘南。そんな憧れのライフスタイルのイメージを、まさに住まいという空間に落とし込むラックスエステートがいま、次のスタンダードになりうる実証モデルをリリースした。
その名は「ケース・スタディ・ハウス」。旧き良きアメリカン・カルチャーが好みの方なら耳馴れた名称だろう。
ときは1945年。それは、当時のアメリカでの建築雑誌の権威“アーツ・アンド・アーキテクチュア”がスポンサーとなって行われた住宅建築実験プログラムで、同誌編集長が雑誌を通じて発掘してきた著名建築家たちを召請し、効率的に複製可能な設計・施工モデルを模索していこうとする試みだった。実証モデルはそれぞれナンバーリングされ、多くがLAに建てられた。これらがミッドセンチュリーの代表的建築事例となり、いまも各所に現存している。なかでも#8は、かのイームズ夫妻が設計した住宅として、とても広く知られた存在だ。
前置きは長くなったが、いまも建築に関わる人々の憧れを誘うデザイン性と、経済的かつ効率的に複製を可能にする設計・施工モデルという観点から、建売住宅の新たなスタンダードを創り出そうと試みるラックスにとっては次に掘るべき対象と写ったに違いない。
現在、同社が手がける住宅街の一角には3棟のプロトタイプが敷地を囲むように軒を連ねている。
#1と#2の2棟は3LDK、#3は2LDK。生活空間への日照を考慮して、両タイプともに2階にLDKと浴室などのサニタリー、1階に2ベッドルームを配している。そして#1と#2には、2階にもうひとつベッドルームを擁し、家族の構成人数によって選択肢が与えられている。
一方、#3の2階はLDKのみの構成となっているため、リビングとDKとの間には、センター部だけを仕切るような石貼りの壁が設えられている。これはミッドセンチュリーの住宅におけるセオリーともいうべき意匠で、広い空間に落ち着きを与える大きな額縁のような役割を果たしている。
もうひとつ、2階のリビングスペースの大きな特徴は、部屋の一角の壁をなくして二方向にガラスサッシをはめた二面採光と、屋外へとつながる角を活かしたバルコニー。
外へ歩み出ると、バルコニーからの視界が、3棟並ぶ敷地の内側へとそれぞれ向けられている。これは同社のケース・スタディ・ハウスに住まう人々同士を、自然なコミュニケーションへと向かわせるためのひそかな仕掛けであり、「湘南の新たな街並みを一からつくっていく」というラックスの理念を具現した格好だ。
加えて、「カリフォルニア」や「キャビン」といった既存の2モデルにおいてもイチ推ししているマルチガレージは、新しいこちらのモデルにも健在。玄関土間から出入りでき、電動オーバースライダーでスムーズに開閉できる利便性を持ち合わせた空間は、単なる車庫以上の価値アリ。
サーファーにとっては数あるクイーバーのストックヤードとして。また趣味やDIYの基地として。はたまたスタジオやショップ、ギャラリーなどクリエイティブなアウトプットを実現させてくれる場所として、住まい手のライフスタイルに新たな豊かさをもたらしてくれる可能性を大いに含んだ空間だ。
求めやすさを前提に、憧れの空間をわたしたちに相応しいカタチで提案してくれるラックスの次の一手に、ぜひ注目して欲しい。
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DATA
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種類:建売住宅
構造:木造在来工法2階建て
敷地:192.26㎡(58.15坪)
建築:57.69㎡(17.45坪)
延床:107.64㎡(32.56坪)
企画:ラックスエステート&OMG
photo◎Kaoru Fujimoto text◎Isao Negishi(KUJIKA)
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